俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2024年4月26日金曜日
令和五年 冬興帖 第七(川崎果連・花尻万博・眞矢ひろみ・なつはづき・五島高資)
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【冬興帖】 川崎果連 枯菊や添木にたよる世でもなし 凍滝や修行の尼僧シースルー マフラーをぐるぐる巻いて父はクビ 雪隠に雪うち散るや歌舞伎町 尻出すな嗚呼おとうとよ浮寝鳥 小米雪ヤンヤヤンヤの葛西橋 たぶんもう失うものはない氷柱 花尻万博...
2024年4月12日金曜日
令和五年 秋興帖 第七/冬興帖 第六(花尻万博・眞矢ひろみ・なつはづき・五島高資・辻村麻乃・網野月を・渡邉美保・望月士郎)
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【秋興帖】 花尻万博 囮あり人といふもの集まりゆく 鉄橋と繋がっている栗の木々 自然薯や幾人埋めし紀の山に 最果ての見えると聞きて柘榴頂く 小鳥網透けて野の空四方あり 眞矢ひろみ 月明に波あり夢殿押し開く 生死不二鈴虫はそう哭いている 老いゆくや銀河...
2024年3月29日金曜日
令和五年 秋興帖 第六/冬興帖 第五(網野月を・渡邉美保・望月士郎・川崎果連・小沢麻結・木村オサム・岸本尚毅・前北かおる・豊里友行)
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【秋興帖】 網野月を 新涼や湯屋の鏡に己が肉 つくつくしくつくつほうしをしいくつ 仲良しの肖てない姉妹王瓜 生贄を祀る獣や月の雨 捨案山子への字の滲む眉と口 地雷原を縦横無尽秋の蟻 月鈴子ワインボトルの空となり 渡邉美保 重なりてくれなゐ昏き葉鶏頭 ...
2024年3月22日金曜日
令和五年 秋興帖 第五/冬興帖 第四(岸本尚毅・前北かおる・豊里友行・辻村麻乃 ・浅沼 璞・仙田洋子・水岩瞳・曾根毅・松下カロ)
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【秋興帖】 岸本尚毅 小さき子遊ぶばかりや野分めく 或る秋の或る一族の写真かな 秋の雲この町少しどぶ臭き 秋の灯や鼻の穴ある招き猫 どの脚となく月明の座頭虫 秋扇や亀に右脚左脚 人遅々と歩むや穭伸びそよぎ 前北かおる(夏潮) 人形のかたちに萩の括られて ...
2024年3月16日土曜日
令和五年 秋興帖 第四/冬興帖 第三(曾根毅・小沢麻結・木村オサム・大井恒行・神谷 波・ふけとしこ・冨岡和秀・鷲津誠次)
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【秋興帖】 曾根毅 雨上がりの電気を愛す茸かな 青く固し蜜柑の尻に指を入れ 古着屋の四隅は唇の冷たさ 小沢麻結 水底の倒木古りぬ初紅葉 秋明菊真白神懸りたるかに 実玫瑰海遠くして湖の風 木村オサム ペイペイでさっと支払っても残暑 王将の裏側は...
2024年3月8日金曜日
令和五年 秋興帖 第三/冬興帖 第二(冨岡和秀・鷲津誠次・浅沼 璞・仙田洋子・水岩瞳・仲寒蟬・関根誠子・瀬戸優理子)
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【秋興帖】 冨岡和秀 病むおんな智恵子抄を愛読す 詩の極意 ウニオ・ミスティカへの架橋 晩年を純潔にする天の磁力 亜大陸 古インドの智慧を召喚す 鷲津誠次 秋茄子や身籠りし子の眉長く 懲りもせず母の文来てすがれ虫 夕鶲いつもの古里の風緩く 月光につぶ...
2024年2月23日金曜日
令和五年 秋興帖第二/冬興帖第一(瀬戸優理子・大井恒行・神谷波・ふけとしこ・竹岡一郎・山本敏倖・杉山久子)
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【秋興帖】 瀬戸優理子 秋暑し衣抜け出す海老フライ 長き夜のさみしいスマホ同期する 十六夜の軋みはじめる半月板 無花果を割る手黒魔術のように 大井恒行 千の風に紅葉流しの降れるかな 神隠し角を曲がれば紅葉の街 にっぽんの大きななやみ水の秋 神谷...
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