俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2025年2月28日金曜日
令和六年 夏興帖 第十一(浅沼 璞・筑紫磐井・佐藤りえ)
浅沼 璞
くちばしを屋根で拭へる聖五月
カルミヤに吸はれ続けてゐる休日
大山海『はにま通信』を読みて
古墳への道 緑さす出会かな
大いなる蝸牛を頭頂に這はす
蚊の声すジョルジョ・デ・キリコのマヌカンに
晩年のかなぶんの短編を書く
人間が人間とのむビールかな
筑紫磐井
金魚盥に金魚がをらぬ超現実
大いなる乳房吸ひ付く端居かな
夏の壁厚く刑務所入るすべなし
佐藤りえ
出目のない賽のやうなる日も涼し
夏立つともろ肌脱ぎのぬいぐるみ
差し入れた腕が戻らぬ五月闇
2025年2月14日金曜日
令和六年 秋興帖 第十(小沢麻結・林雅樹)
小沢麻結
雨に酔ひ風に酔ひ酔芙蓉かな
秋蝶の翅重ね風やり過ごし
杉の香の失せぬ間に酌め新走り
林雅樹
乳見せて笑ふ老婆やななかまど
庭掘れば出づる人骨ななかまど
よく出来て案山子やネルのシャツ着たる
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