辻村麻乃三人の同時に開くる初御籤
初社一気に投ぐる厄割玉
初茜蜃吐きたる氣の中に
引潮の鳥居金具に淑気満つ
自らが乗る夢見たり宝船
わつと来てわつと去りたるお正月
咲上がる梅の花こそ町意なる
びきびきと泡立つものや春の池
啓蟄や人に言へざることをして
留守居せし部屋の女雛のよく笑ふ
瀬戸優理子初暦この一年という長編
淑気満つ一句のための紙の白
朗らかな原稿依頼五日かな
春の雪けものの水場甘くなる
春塵の薔薇窓ペインクリニック
辻村麻乃三人の同時に開くる初御籤
瀬戸優理子初暦この一年という長編
ふけとしこあらたまの出窓に壜の蒼透けて
加藤知子日の丸を立てぬ酸っぱさお元日
杉山久子七種粥吹き令和はや七年目
小野裕三早見表の隅々までも淑気かな