網野月を忍冬今宵の予定メールせり
通し鴨四十の娘未だいかず
光秀は首を捜して草いきれ
夏の海コンツァーボトル握り締め
半夏生嫁は妊娠六ケ月
本当かよ何とか言えよ道おしえ
鱆って魚なんだ後退り出来ない
佐藤りえくづほれてさなぎのやうな稲荷寿司
生存に許可が要る気がする五月
中空に浮いたままでも大丈夫
ノンブルはページにひとつ日雷
早乙女の乙女にあらぬをとめかな
望月士郎人形の目は貝ボタン海市立つ
花過ぎの駅に鱗のない魚
字足らずのようなほほえみ尺取虫
聖五月病院バラ科の窓口へ
取り返しのつかないことをしたい茄子
筑紫磐井北川に会う約束が大夕立
追加する鮎の皿出て客はなし
小乗も金剛乗も虚子の夏行
美の争乱・美の共謀も螢の夜
新小岩に蚊がゐて何となく不倫
近江文代向日葵に夫の知らない声を出す
夏海の深さよ拘束の手首
夏野原指を繋いで踏み砕く
夕焼けてきて女体曲線ばかり