俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2025年3月21日金曜日
令和六年 秋興帖 第十一(浅沼 璞・佐藤りえ・筑紫磐井)
浅沼 璞
片脚を伸ばしてかなかなを聞けり
かなかなと外湯に瘦身をまげる
朝霧や数多の樹頭あらはにし
柄と柄重ねてひとり秋高し
針金の人形の腰秋めきぬ
唇のかたちの刺繍秋立ちて
軽やかに鬼の子としておりてくる
佐藤りえ
わたしたちたちまち居待月のもと
火を捨ててきた掌も霧の中
コペンハーゲン、ストランゲーゼ30番地
秋深みピアノの蓋に置いたパン
筑紫磐井
精霊会コロナの死者はいつかゼロ
化け物になつて西瓜の帰り来よ
檻の中で人が飼はれる月夜かな
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