眞矢ひろみなめくじり縮みて十万億土かな
蛍火や軌跡はコンマとなりて消ゆ
あぢさゐの毬のへこみといふ重力
翳す手に天日の痛み原爆忌
地獄絵を見てあっさり味の氷菓とす
小沢麻結真ん中はゴジラ峰雲三兄弟
手のひらに掬ふ湖夏の朝
旱星戦争は降るものならず
花尻万博暮らしの灯いまだ切なく鯰かな
夜目利ける片手拝みの涼しさよ
麦の香に巡礼粗く伸びにけり
短夜に頭失ふ釘ありぬ
観音の曲線に沿ふ台風圏
なめくじり引用元と別れ来て
折にふれ正気をよぎる蛍かな
林雅樹(澤)肌脱ぎの婆ァが踊り込んで来た
盆踊最高潮やアパツアパツ
薄羽蜉蝣掌にかざし見せユーチューバー
【秋興帖】
渡邉美保鰯雲国境まで水汲みに
秋日差し退屈さうな空気入
松ぼくり秋思の靴が蹴ってゐる
小林かんな身ほとりに夜業の人を呼ぶボタン
朝寒や別の女が血をとりに
鎮痛剤追加UK80’sも
いぼむしり血をとれ左でも右でも
鹿火屋守の銅鑼を聞きたし夜のふけて
田中葉月船虫の一族郎党ひきつれて
等間隔に団栗落ちてゐる未来
月の船喫水線をにじませて
箱舟の選ればれしもの秋の虹
ちょい悪のオヤジが好きで秋の蜂
小野裕三恋とはなぜ落ちるものかと鰯雲
退屈ねって夜の林檎に火をつける
蟋蟀の続篇である飛行場
五代目を名乗る長身小鳥来る
末っ子で演歌が好きで林檎好き