俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2017年10月27日金曜日
平成二十九年 秋興帖 第一(北川美美・仙田洋子・曾根毅)
北川美美
公園のベンチ置き去り秋の夕
臨終のくちびるひらくうつつかな
虫の音の黄泉平坂まで続く
仙田洋子
簡単な音が好きなり鉦叩
水の秋手を入れて水よろこばす
石ころのきれいに濡るる水の秋
曼珠沙華水ある方へ傾きぬ
曼珠沙華切りためけふの褥とす
さびしくて銀河の端に触れにゆく
海底の亀裂銀河の亀裂かな
曾根毅
隠沼や落葉まみれという愛も
衣被爪を切られているような
長き夜ピアノの蓋の化身かな
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