2015年2月28日土曜日

平成二十七年歳旦帖、第八 (下坂速穂・岬光世・依光正樹 ・依光陽子)



下坂速穂(「クンツァイト」「屋根」)
初髪のひかりのごとく小路かな
一歯欠けたる七歳の御慶かな
初声やほのかに明きところより



岬光世 (「クンツァイト」「翡翠」)
売初や粗品を富士のやうに盛り
悠悠と筆の機嫌も吉書かな
任されて鐘を撞くなり松納



依光正樹 (「クンツァイト」主宰・「屋根」)
みつまたのつぼみと冬の空気かな
本堂のまつ暗にして耳袋
鐘が鳴る方へ歩きぬ初詣



依光陽子 (「クンツァイト」「屋根」「ku+」)
陳ね蔓の捻ねて数寄なりお元日
物と物触れ合はずある淑気かな
松明や真中に一羽立たしめて