下坂速穂(「クンツァイト」「屋根」)初髪のひかりのごとく小路かな
一歯欠けたる七歳の御慶かな
初声やほのかに明きところより
岬光世 (「クンツァイト」「翡翠」)売初や粗品を富士のやうに盛り
悠悠と筆の機嫌も吉書かな
任されて鐘を撞くなり松納
依光正樹 (「クンツァイト」主宰・「屋根」)みつまたのつぼみと冬の空気かな
本堂のまつ暗にして耳袋
鐘が鳴る方へ歩きぬ初詣
依光陽子 (「クンツァイト」「屋根」「ku+」)陳ね蔓の捻ねて数寄なりお元日
物と物触れ合はずある淑気かな
松明や真中に一羽立たしめて