2015年3月20日金曜日

平成二十七年春興帖、第三 (早瀬恵子・前北かおる・堀田季何・岡田由季・浅沼 璞・真矢ひろみ)




早瀬恵子(「豈」同人 )
友禅の小袖の春に遊び種
絢爛の湿りに乗るや花信風
ビスクドールの春色の故郷



前北かおる(「夏潮」)
真暗闇椿の花を生み止まず
昃れば椿の花粉光り出す
ひと本の雨のさ中の椿かな



堀田季何(「澤」「吟遊」)
乾くほかなし変態のできぬ蝌蚪
蝌蚪乾き少しだけ死にさらに死に
蝌蚪乾く非実在少女の腿に
蝌蚪乾く水上の音楽途切れ
蝌蚪乾くアラブの春のけだるくて
いつまでも革命起きず蝌蚪の国
帰還困難区域蝌蚪元気に乾く



岡田由季(炎環・豆の木)
尾行すぐまかれ蛙の目借時
大仏は主に銅なり春の宵
亀の鳴くそこにピークを持つてくる



浅沼 璞
梅が香に殿心なす小袖かな
春雨や屁負ひ比丘尼が膝頭
胴長の恋猫に似し端女郎
垢染みた手へ雛あられ夜鷹なれ
春雪はお女郎さまも大あくび
脇息に開く春雨物語



真矢ひろみ      
うららかに赤ウインナー蛸の足 
春はあけぼの国を愛するけものみち
料峭や血脈うすき親子丼