2016年3月18日金曜日

平成二十八年歳旦帖 第八(北川美美・中西夕紀・筑紫磐井)




北川美美
蒼空にときどき見える凧の糸
風の町へと馬に乗るサル
新巻の巻かれし縄を巻き戻す



中西夕紀
冬欅沈みたる日の余光受く
この部屋の句会に虚子や寒雀
福相にならんがためのちやんちやんこ



筑紫磐井
生鮮が出回る四日夕みぞれ
「山本周五郎商店」が七草粥
歌留多会果てたる夜や妻の家出
多忙なる事歳末の我の如し