俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2016年3月25日金曜日
平成二十八年春興帖 第二( 曾根 毅・木村オサム・渡邉美保)
曾根 毅(「LOTUS」同人)
澄みきっている春水の傷口めく
竹林を来て春昼となっており
いのちまだ生臭くありつばくらめ
木村オサム(「玄鳥」)
曼荼羅の押し寄せてくる雪解川
啓蟄や黙って頬を差し出しぬ
透明な蝶の飛び交う試着室
春雷や向う三軒印度人
泳げないのに朧夜に駆り出さる
渡邉美保
春一番きのふのままに木のベンチ
ドーナツのやうな木の瘤風光る
満天星の芽だちに触るる手の冷た
雉鳩の羽根片びらき雛荒し
笑ふやうな鳥の鳴き声抱卵期
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