田中葉月さくらんぼ涙の止まるクスリです
かくれんぼ見つけてほしい蛇苺
深山の独り芝居をホトトギス
ぼうたんの花片の中へ身投げする
初夏の小さな銀貨のものがたり
奔放な果実の匂ひ夕立あと
花尻万博美しき物の例へを蛇苺
筍に気を許しても訛りけり
水は水引き寄せ下る夏蜜柑
舟焼きて蕗の雨へと戻り来し
羽村美和子(「豈」「WA」「連衆」)庭先に孔雀来ている青葉風
ほととぎす数式の途中透けてくる
薔薇園の風にはらりと怪文書
葉桜に引っ掛かってる変声期
古代蓮ハイブリッドの世に生まれ
浅沼 璞俺は津までお前も津まで花筏
髪すこし短くあやめやや硬く
とぎれなく翼ある声木下闇