2018年4月13日金曜日

平成三十年 歳旦帖 第五(松下カロ・内村恭子・浅沼 璞・渡邉美保・佐藤りえ・筑紫磐井)



松下カロ
人日の一駅先の合鍵屋
刻まれて芹は小さな島となり
だぶだぶの花柄パジャマ小正月


内村恭子
初浅間風のナイフが削ぎ真白
狛犬の化粧際やか初詣
中京や雪積もりゆく犬矢来
飼犬はをらず読初に八犬伝
ロビーに金屏風外は銀世界


浅沼 璞
歳旦三つ物
犬あまた初日まぶれに丘の上
 飼主たちの交す年酒
花を酔ひ月を酔うてはギター抱き


渡邉美保
お焚上の最後の榾の燻れり
あやふやな顔となりけり初鏡
日照雨きらきら予定なき五日
人日の魚の肝のゼリー寄せ


佐藤りえ
あはゆきをたつたひとつのお守りに
クレヨンの海漕ぎいづる宝船
大寒や末の娘も指圧中
履き物の出尽くしてゐる三が日
野良猫に尾など振られて御慶かな


筑紫磐井
平成のなつかしくなる初放屁(おなら)