堀本吟* 猫が来た
新入りはあいさつ知らん猫柳
らんぼうに猫をあつかうクローバー
ゆったりと芥に従いて花筏
* 下界の事情
忖度をいっぱい埋めてお安い御用
荒れもようたまらんたまらんぺんぺん草
小林かんな蛸地蔵駅が最寄や花の城
築城の謂れは知らず花筏
歴代の具足六体陽炎る
甲冑の着用図解昼の虻
会場費にがっちょ合算風光る
神谷波名を知らぬ人と話の弾む春
エイプリルフールの空の瑞々し
あの人もこの人もマスク西行忌
望月士郎海市消え寄せては返す哺乳瓶
病棟に夜の触角さくらざい
老人に初めてなってみて栄螺
弟のような妻いて春の鼻
霾るや手相に知らない町の地図
春の虹コップを重ねたら斜塔
旅は風音ときおり蝶のかすり傷