仲寒蟬海市にまだランプ磨きといふ仕事
かの世まで川向かうまで花菜畑
妻とちがふ時間を生きて朝寝かな
鶯餅やつぱり膝を汚しけり
鳥雲に入るや知恵の輪外れたる
春月や今産まれたるごとく島
結婚指輪抜けなくなりぬ春の風邪
曾根 毅飛花落花抜けて眼鏡のつる固し
寄居虫の見えなくなりし男根期
出囃子のひとりは霞かも知れず
夏木久観劇や間隙へ花迷ひ込み
鼻かめば話外され花ふぶく
鳥のゐる部屋を叩けり魚の貌
設計図の2階の部屋より花水木
灯は消せど出るに出られず今日の部屋
りんかくをしみじみけせるしじみじる
そこそこに底に響けるさようなら
坂間恒子花冷えの二十四階からおりる
白蝶の壊れつつくる真正面
ひとひらのさくら冷たき捨て鏡
揚げ雲雀花束川に捨ててある
転生の夏鹿眼そらしけり