松下カロ噴水の芯に少年サンテグジュペリ忌
ウェディングドレスのやうな驟雨来る
恩讐の果てのホテルのプールかな
小林かんな数多いて一羽飛び立つ半夏生
夏草を映さぬ瞳してひつじ
茫々と眉毛の灼ける駱駝かな
猛禽の羽毛にふれし白靴よ
カピバラはやがて埴輪に星涼し
西村麒麟毒の無き蛇かもしれぬけど巨大
滝少し空中を行き落ちにけり
手で扇ぐ三鷹の嫌な暑さかな
仙田洋子地図濡れてニュルンベルクの緑雨かな
緑さすナチス歩きし旧市街
銅像
ワーグナーの頭の上の巣立鳥
夏の夜を金管楽器鳴りどほし
讃ふるは黄金の麦酒の大ジョッキ
生ビール恋に飽き人生に飽き
蛇を打ち殺せしイヴのけだるさよ
岸本尚毅孑孑の浮く水舐めて雀蜂
優曇華や見て百円の福禄寿
空蟬は鬼の貌なり百合赤く
夏帽の皆美しく買はれずに
二番子を御成通りに鳴かせをり
寝そべつて壁の如くに簾あり
灯籠やお供へものを蜂が這ひ