大井恒行掘り進む夏 地球のみやこ出で来たり
青空に季(とき)ながく触れ夾竹桃
花づなの島に棲みつつ鸚鵡かな
曾根 毅空蟬や音を立てずに崩れ去り
夏の蝶大方はメルトダウン
何処まで釈迦の声する百日紅
網野月を持ち運ぶ略礼服や日の盛
天花粉「生まれる」は受動態
片陰の反対側の喫煙所
もしかしてあのビル斜め日の盛
食べること食べられること冷素麺
蝉時雨連休明けは休園日
夏の月廃刊間近の雑誌買う
花鳥篇 追補
早瀬恵子春ゆけり万葉カクテルのパレット
咲きましてうすむらさきの美童なれ
平成の一休さんの囀りし
浅沼 璞くわふんくわふん春風亭のやうな顔
ハンガーがからまつてゐる杉花粉
羽織ぬぐ春風亭杉花粉かな
北川美美引き寄せて桜の実なり潰し嗅ぐ
之布岐咲く日増に雨の重くなり
紫陽花の青がまばゆし夜目遠目
山鳩の声くぐもれる夏の朝