俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2019年8月23日金曜日
令和元年 花鳥篇 第一(神谷 波・曾根 毅・松下カロ)
神谷 波
手が空いて炭酸水とバラの風
あとはよろしくとばかり鳴くほととぎす
消灯や狂つたやうに香るカサブランカ
ヘリの爆音のうぜんの花ぽとぽと
曾根 毅
裁かれることなく老いぬ白牡丹
灰色の夜は人肌の桜蘂
薄き翅仕舞いきれずに天道虫
松下カロ
石ひとつ抱いて帰りぬ昼寝覚
おほかたは倒れてゐたるかきつばた
蝉しぐれ青年は喉焼きつくし
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