2019年8月23日金曜日

令和元年 花鳥篇 第一(神谷 波・曾根 毅・松下カロ)



神谷 波
手が空いて炭酸水とバラの風
あとはよろしくとばかり鳴くほととぎす
消灯や狂つたやうに香るカサブランカ
ヘリの爆音のうぜんの花ぽとぽと


曾根 毅
裁かれることなく老いぬ白牡丹
灰色の夜は人肌の桜蘂
薄き翅仕舞いきれずに天道虫


松下カロ
石ひとつ抱いて帰りぬ昼寝覚
おほかたは倒れてゐたるかきつばた
蝉しぐれ青年は喉焼きつくし