俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2019年8月30日金曜日
令和元年 花鳥篇 第二(杉山久子・渕上信子・夏木久)
杉山久子
白髪の美しき遺影や鳥雲に
木漏れ日の記憶匂へる夏帽子
終電に空ける予祝の缶ビール
渕上信子
老いうぐひすの物狂めき
蟻にあなたに雨の休日
兜太論茹小豆甘すぎ
被爆ピアノを聴く熱帯夜
夏帽子振向くや別人
夜食のあとの指舐めて「さて!」
歩み出す厄日の団子虫
夏木久
炎昼を影の干乾びゆくボレロ
顔役になれず朝顔朝茶漬
峰雲の麓総州九十九里
雨脚が伸びて曼陀羅図の小火へ
器より銀河へしずく水の星
向日葵の所属七三一部隊
王子さま忌の夜の飛行機雲へ
次の投稿
前の投稿
ホーム