岬光世くちなしや窓開けぬ家つづく道
子供下駄そろひし店へ鉄線花
姫女苑いつしか径を外れゐて
依光正樹海鳥の立ち羽ばたきも春めいて
茅花あれば鳥も来るらむ海の音
立葵高き一花は反り返り
碧い風菖蒲の上を流れ出す
依光陽子青柿に乾いてゐたる蛇口かな
両の手に面と鏡や夏蓬
夏蜜柑青き少年服が映え
木香薔薇洩れ日の中の吾やさし
辻村麻乃曼珠沙華
朱き舌見せし蕾や彼岸花
すつくりと蕾揺れたる曼珠沙華
咲き頃に見放されをり曼珠沙華
次次と手指のごとく彼岸花
水引の赤となりたる曼珠沙華
彼岸花彼岸に咲きたる律儀さよ
ざはざはと曼珠沙華立ち上がる夜