俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2019年10月4日金曜日
令和元年 花鳥篇 第七(飯田冬眞・ふけとしこ・加藤知子・前北かおる)
飯田冬眞
水となる骨を納めに桃の花
表札は先代のまま蝦夷桜
羊の毛刈る牧童の青ッ洟
ぼうたんや崩るる音を秘め白し
螢籠まだみぬ吾子の魂連れて
老鶯や
溶岩
ラバ
を踏み行くカルデラ湖
郭公の声よおにぎりつぶれたり
ふけとしこ
ひよどりの巣のあるらしき庭に立ち
青柿や西の一間を墨客に
青蜂の取り合うてゐる韮の花
加藤知子
滴りて戦後生まれは甘く跳ぶ
沙羅落花夢は食べたか消えたのか
刺青着て二人称なり大暑なり
天気晴朗馬を冷やしにいくは誰
前北かおる(夏潮)
暗幕の裏地は緑風薫る
あぢさゐの頃のゆりのき通りかな
洗濯機三回分の五月晴
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