ふけとしこしゆと走るものに巻尺嫁が君
七宝の指輪の金茶粥柱
五つ紋乗せ宝恵駕を送り出す
花尻万博枯れ薄卵を産ます鳥寝かす
言の葉のうすらひまとふ白菜か
新しき海ウツボの腸は熟れて
すぐ手毬に飽きた人死ぬといふにも
道入れて道を老いしむ置炬燵
前北かおる房総のやま常葉なる初詣
年越せる葉が欅にも銀杏にも
足指の先まで包む冬日かな
なつはづき鉄アレイじっと見つめている三日
人日や手帳のすみっこで眠る
ぽっぺんぽっぺんひとり夜のうすうすと
思い出のそこだけが夜鮫きたる
真新しい石鹸の香よ寒に入る
網野月を数え日を五指に納める令和かな
鳥影の梢に四羽大晦日
眼底疲労の薬を白湯で初燈
目薬を点す手の震え羊歯白し
初場所や舐めたらいかん突っ張り棒
タコ焼やちょっと歪な新満月
寒寒寒痰の絡んでいる烏
中村猛虎(なかむらたけとら)横たわる百舌鳥古墳群去年今年
太陽の塔の背中の御慶かな
仁徳陵へ続く参道淑気満つ
生物の頂点はヒト虎落笛
年酒酌む今もヒロポン三百円