俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2020年7月24日金曜日
令和二年 花鳥篇 第九(北川美美・小林かんな・椿屋実梛・下坂速穂)
北川美美
鶯や昨日の庭に手を入れて
みつちりと十薬の庭文字うつり
老鶯や巨石並べて庭石屋
小林かんな
黒南風や果実を龍と名づけたる
指笛は市場のおじい雲の峰
芭蕉畑より日焼けして子と大人
気圧910ヘクトパスカルソーダ水
海蛇を燻して吊るす朱の瓦
椿屋実梛
令和二年春がなかつた気がしてる
闇市のごとくマスク売らるる商店街
ひとりしづか巣籠り生活慣れてきて
自粛といふ言葉に慣れて豆ごはん
下坂速穂
真夜中の雨明け方の燕
行かぬ方の道うつくしく麦の秋
麦秋を見つめてしづかなる二人
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