俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2021年8月13日金曜日
令和三年 花鳥篇 第七(眞矢ひろみ・浅沼 璞・内村恭子)
眞矢ひろみ
全身を覆う看護師袋角
はくれんや白とは空で無ではない
蕗味噌の苦み男娼連れ歩く
ぶつ切りの蛸の総身を逆算す
柘榴咲く六は完全数だから
浅沼 璞
金蘭のあかるさ肉のまろやかさ
襖絵の龍の瞳やうすら繭
月涼し鸚鵡無言のまゝ飼はる
日や弓のしなりて海は夏の海
短夜のマウスピースは水の底
母の日は大陸父の日は列島
首浮かしゆく夏霧の向うがは
内村恭子
アクリル板だらけ金魚になつた気分
非接触電脳決済冷房裡
断捨離もし尽してをり走り梅雨
椅子に
×
(
バツ
)
もしくは蓮の花の鉢
吊り革につかまる手なき薄暑かな
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