2021年8月13日金曜日

令和三年 花鳥篇 第七(眞矢ひろみ・浅沼 璞・内村恭子)



眞矢ひろみ
全身を覆う看護師袋角
はくれんや白とは空で無ではない
蕗味噌の苦み男娼連れ歩く
ぶつ切りの蛸の総身を逆算す
柘榴咲く六は完全数だから


浅沼 璞
金蘭のあかるさ肉のまろやかさ
襖絵の龍の瞳やうすら繭
月涼し鸚鵡無言のまゝ飼はる
日や弓のしなりて海は夏の海
短夜のマウスピースは水の底
母の日は大陸父の日は列島
首浮かしゆく夏霧の向うがは


内村恭子
アクリル板だらけ金魚になつた気分
非接触電脳決済冷房裡
断捨離もし尽してをり走り梅雨
椅子に×(バツ)もしくは蓮の花の鉢
吊り革につかまる手なき薄暑かな