俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2021年8月20日金曜日
令和三年 花鳥篇 第八(松下カロ・家登みろく・鷲津誠次)
松下カロ
アドバルーン山椒魚の見し夢は
十薬の葉か人形の心臓か
山椒魚夢より覚めて後ずさり
家登みろく
夫を待つ春の北斗の下に待つ
しあはせの輪郭確かおぼろ月
結末は春風に遣る花占
夫の駆るバイクの音よ麦の秋
五輪来るぬ東京タワーに夏の霧
鷲津誠次
囀りや検針員の忍び足
無人駅に父の下駄の音雨がえる
老施設となりし母校よ花は葉に
洗濯屋の蒸気たわわに夏うぐいす
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