2023年9月8日金曜日

令和五年 花鳥篇 第八(依光正樹・依光陽子・前北かおる)



依光正樹
子を産めばやがて大きく春の月
ひとつ手にひとつの仕事八重桜
春の雨に濡れて小さな花を見る
夜の冷えて花の明るく照らされて


依光陽子
盆梅や鏝にて寄する貝の砂
花ふぶく柩の舟がつぎつぎに
小鳥引き音楽が消え雨積む木
松の花きみの振る手は窓辺から


前北かおる(夏潮)
雨過ぎて日永の虹の立ちにけり
朝に雨夕暮に雨あたたかき
あたたかき料理を届け花の宵