【春興帖】
佐藤りえ春愁いなぞなぞなんぞ読み明かし
偶成の枝のしるべや西行忌
筑紫磐井とつてをきの衣擦れの音春宵に
眉おぼろそろそろ死んでゐる頃か
世間うるさし・ひだるし・かなし春の孤老
【花鳥篇】
浅沼 璞あぢさゐのとてもあかるい平屋建
貧困につき鬼百合は斑なる
老鶯はたどたどしくもすぐ近く
向日葵をやさしくなでるつもりなし
佐藤りえカレンダー破き慣れにし六月や
ひとさらふ風の吹くてふ竹枕
筑紫磐井明け易し同人欄は徐々に減る
うらぎりは葦の青さのなかにあり
衆議して河童は夏の生きものだ
ぼんやりと土踏まずより梅雨茸