2023年10月21日土曜日

令和五年 夏興帖 第二(坂間恒子・杉山久子)



坂間恒子
空間の青無花果の受洗のいろ
無花果の葉陰に浮かぶ片えくぼ
白昼の鶏鳴あがる栗の花
昼の月からす揚羽の素手でくる
大仏の背中がひらく棄民の夏


杉山久子
派出所に届きし穴子よく動く
愚痴聴いてやる白玉の芯を噛み
白南風やこすると魔人出る指輪