岸本尚毅梅雨深し水に映れる蜘蛛の糸
その墓の涼しく町の音遠く
野の百合が見えて大きな墓の百合
夏の雲何の煙突かは忘れ
町角に神を説きをり凌霄花
山の宿蠅少なくて大きくて
堀に蓮咲いて城主は佐竹様
小林かんな父の日の保険会社のタオル干す
蛇見る子見ない子土手にもつれ合う
夏の雲金管楽器待機する
日焼して山羊を迎えにゆくところ
昼寝して声を忘れてきた子ども
瀬戸優理子没頭の時計のゆがみ濃紫陽花
われわれを試すパセリの露悪趣味
絶交の青いハンカチ借りたまま
汗を拭き拭きいい人になるノルマ
ソーダフロート宇宙の話まで飛んで