小野裕三麺類の看板続く小正月
水岩瞳元旦や揺れて机の下に入る
二つの神籤いいとこ取りする辰の年
二日はや隣りの坊のバイク音
胡桃入りのごまめまだある五日かな
図書館に十代の句集春隣
神谷波まんまるの月数へ日の窓ごとに
元日の暮れかかる頃家揺れる
吹きとんでしまふ正月気分かな
【秋興帖】
早瀬恵子長き夜の脳内パズルかけめぐる
降りみ降らずみアナーキーな秋
点滴と酸素の母じゃ澄み渡る
浜脇不如帰あかるくは月と椛と基督の肩
ほつるるはできれば秋分の日でも
双肩がちきゆうをわかるむししぐれ
右肩を失くしたやうに瀑したり
馬肥えてやつと雲の上を語る
月の砂齧る6番アイアンに
地にいちど転がりし柿かも基督