神谷波水無月の雨音こきみよき軒端
夕立の後鉾杉の誇らしげ
老夫婦だけとなりたる百日紅
打打発止太陽と熊蝉と
散髪をしてきたばかりらし日傘
瀬戸優理子チョコミントアイス止まらぬ温暖化
カッペリーニ待つ夏蝶を見失う
昼寝覚プリンはちょうどよい固さ
岸本尚毅満面に口ある鯉や青あらし
茅の輪くぐる人を水鉄砲で撃つ
這ふもゐる夏蚕の匂ひほのぼのと
味噌汁に海老の頭や雲の峰
罰杯を高くさしあげビアホール
冷房や札に銭のる募金箱
日盛や役所掲ぐる日章旗
鷲津誠二夕立やいよゝ凛々しき開墾碑
不登校の家にすくつと大向日葵
片ゑくぼ亡き母に似て藍浴衣
うたた寝の駄菓子屋の婆蚊遣り香
坂間恒子白昼の鶏鳴あがる栗の花
かすかなる馬の嘶き忍冬
黒揚羽一頭ひそむ水琴窟
どこまでも鉄路のひかり夕蜩
ゴ-ギャンの裸足の娘と目が合った