2014年12月5日金曜日

 平成二十六年冬興帖、第二 (寺田人・曾根 毅・陽 美保子・関根誠子・小林苑を・飯田冬眞)


寺田人(「H2O」「ふらここ」)
冬暁や手を成す骨の夥し
背骨より凍りつつあり研究棟
凍星を眺めアイスの棒の味
古神社立ち入り禁止小夜時雨
雪嶺や寝返り小さき同衾者
着ぶくれの中心にある心の臓
口の端の熱燗舐め取られ夜更け



曾根 毅(「LOTUS」同人)
寄せ鍋に顔の長きが集いけり
冬の灯を浮かべておりし関ヶ原
寒旱田に囲まれし墓一基



陽 美保子(「泉」同人)
改札は黙つて通る日短か
どんみりと真鯉のゐたる神の留守
石垣に水影あそぶ一茶の忌



関根誠子(寒雷・炎環・や・つうの会所属)
小春夜の遠目に若きひとの夫
息弾むマスクの引つ付いて困る
鏡の顔の笑むまで笑んで冬深し



小林苑を
幾頭も鯨の過ぎて目覚めけり
波高ければ幻の捕鯨船
さよならくぢら渋谷五叉路の信号




飯田冬眞
ママチャリに枯葉を乗せて家探し
猫の尾のしたたかな影白障子
凩や死者も生者も海より来
煤逃げの連れは愛犬メロンパン
鉛筆を無為に尖らせ討入り日
青空や目ばかり動く暦売
熱燗の腸(わた)の火照りを持ち歩く