2014年12月19日金曜日

 平成二十六年冬興帖、第四 (中西夕紀・望月士郎・真矢ひろみ ・羽村 美和子・花尻万博・大井恒行)

中西夕紀
鷹まぶし眉間のちから解きたまへ
土葬せし祖母は狐火二度見しと
わが内のわが声聞かむ葛湯かな


望月士郎 「海程」所属
雪孕むまで六角形の交尾せり
魚屋に魚の目玉年詰る
屈む子に野兔の毛の耳袋



真矢ひろみ 
動詞が好き助詞もそこそこそして河豚
瑠璃天に海鼠は小言を云ふらしい
抑うつに身過ぎ世過ぎの枯野道




羽村 美和子 (「豈」「WA」「連衆」同人)
朱欒さぼん南蛮船など来んか
風土記より尻尾出る出る十一月
狐火も混じって青色発光ダイオード



花尻万博
沖へ沖へ光集まる狐罠
何時までも葱を刻んでをられしよ
大根覚えたての水垂らすなり
埋火に照らされ夜目の利き納め
跳ね炭や誰(たれ)が山河を貫ける



大井恒行
六林男忌の街ぬり絵のごとく夕焼ける
冬青空まさびし風を聞く娘
虚舟(むなしぶね)漕ぎつつ隊を崩さざる