中西夕紀鷹まぶし眉間のちから解きたまへ
土葬せし祖母は狐火二度見しと
わが内のわが声聞かむ葛湯かな
望月士郎 「海程」所属雪孕むまで六角形の交尾せり
魚屋に魚の目玉年詰る
屈む子に野兔の毛の耳袋
真矢ひろみ動詞が好き助詞もそこそこそして河豚
瑠璃天に海鼠は小言を云ふらしい
抑うつに身過ぎ世過ぎの枯野道
羽村 美和子 (「豈」「WA」「連衆」同人)朱欒さぼん南蛮船など来んか
風土記より尻尾出る出る十一月
狐火も混じって青色発光ダイオード
花尻万博沖へ沖へ光集まる狐罠
何時までも葱を刻んでをられしよ
大根覚えたての水垂らすなり
埋火に照らされ夜目の利き納め
跳ね炭や誰(たれ)が山河を貫ける
大井恒行六林男忌の街ぬり絵のごとく夕焼ける
冬青空まさびし風を聞く娘
虚舟(むなしぶね)漕ぎつつ隊を崩さざる