2014年12月12日金曜日

 平成二十六年冬興帖、第三 (小野裕三・小澤麻結・林雅樹・前北かおる・藤田踏青・早瀬恵子)




小野裕三(「海程」「豆の木」)
生き物の名前群がる凹面鏡
おとりさま赤い教室へと兆す
極月の犬を選んで生まれ変わる



小澤麻結
本堂へ猫の抜け道花八ツ手
鰻くる迄の手酌や燗熱く
冬館漏れくるピアノ何の曲



林雅樹(「澤」)
枯園の見えて鉄扉の半開き
柵にシート張つてありけり池普請

行く年や広間に歌ふ演歌歌手



前北かおる(「夏潮」)
授かりし子を連れ申す七五三
昇殿の床の冷たさ七五三
ぺしやんこに抱かれてをりぬ七五三



藤田踏青
室咲のあやしいほどな用言体
短詩型を一寸止めに笹鳴や
音読に朱をにじませて寒木瓜の
冬の雷 後退りする 槍穂高
寒林に黒斑増えゆく余罪として



早瀬恵子(「豈」同人 )
朔旦冬至ちょっといい日の香りせり
小夜時雨毛皮のマリーに敬礼す
金色の接吻はぜるペチカ燃え