浅沼 璞悼・澤田和弥
初東雲祈りはいつも目尻から
坂間恒子初御空ショートステイの母おくる
四日はや整形外科の待合室
人日や百羽の鴉薮のなか
網野月を来い来いに芒が残り年暮れる
終着駅は始発駅なり去年今年
レンジ上の張りぼて申に咲く淑気
初釜の萩の貫入数えけり
雑煮餅下になるとの隠れいて
三日なら駅伝を視てべっこ飴
伸し餅の耳を磯辺に七日かな
近恵 (炎環・豆の木)数え日の肉体ことばとは違う
水掻きに血管あまた初日の出
鉢巻に額の皮脂がお正月
前北かおる(夏潮)惣領の立ち働ける雑煮かな
数の子を白木の箸につまみけり
御降や雲の帳の暗からず
内村恭子 (天為同人)お降りの静か天井画の豪華
招き猫飾りて仕事始とす
柏手に始まる市の淑気かな