2016年2月19日金曜日

平成二十八年歳旦帖 第五(神谷 波・早瀬恵子・望月士郎・山本 敏倖)



神谷 波
枯草の中より初日出でにけり
いつものやうに蛇口から水今朝の春
初鏡気合を入れて口紅を



早瀬恵子 
若水や季語の庭より招福猫児(まねきねこ)
初春の一詩入魂猿や申
祝杯に浮かびし富士の淑気かな




望月士郎 (「海程」所属)
一瞬に元旦となりたこのいぼ
手毬つく少女や地球空洞説
妻という人らしごまめをよく食べる
薺打つ母に旋毛の二つある
魚の目で鳥の目で見るいかのぼり



山本 敏倖
新年のおっこっている門前仲町
ほうき星へ乗る気で雑煮おかわりす
三歩すすんで門松は異邦人
初夢のつぼへ私を置いてくる
裏白の裏にひそみしテロリスト