五島高資日に向かふ竜の背中や春の暮
竜天に大倭日高見国
なゐふりて直毘神や春の朝
ゆれ止まぬ筑紫の春の夜明けかな
花に寝て天に近づく瀬音かな
川嶋健佑(船団の会、鯱の会、つくえの部屋)暁に集まってくる春の鯱
日本の暁に飛び出す春の鯱
憂き嘆き喘ぎ雄叫び春の鯱
十五番街のつくえの部屋へ東風
やがて東風吹き抜けて午後部屋の午後
のんびりとつくえの部屋に春の塵
羽村 美和子 (「豈」「WA」「連衆」)風二月哲学をする詩人の背
梅真白夜の一隅動きだす
古典抄引っ掛かりたがる山椒の芽
花あしび馬が通ると声を出し
みちのくの風のまだらを紋黄蝶
西村麒麟蛇穴を出てゑがかれてゐたりけり
米国のビールが淡し涅槃西風
貝寄風や外で飲むならハイネケン
春宵やダーツを投げてみるも下手
鱒の顔口を開けても閉ざしても
田代夏緒チューリップ百回呼べば芽を出しぬ
突風に介錯されしチューリップ
ちゅーりっぷ甘え上手といふ技巧
小林かんな建築の丘せり出して春の空
溶接の面ふり向かず朝桜
帽子屋の起伏いろいろ春深し