2016年5月20日金曜日

平成二十八年春興帖 第十 (五島高資・川嶋健佑・羽村 美和子・西村麒麟・田代夏緒・小林かんな)



五島高資
日に向かふ竜の背中や春の暮
竜天に大倭日高見国
なゐふりて直毘神や春の朝
ゆれ止まぬ筑紫の春の夜明けかな
花に寝て天に近づく瀬音かな



川嶋健佑(船団の会、鯱の会、つくえの部屋)
暁に集まってくる春の鯱
日本の暁に飛び出す春の鯱
憂き嘆き喘ぎ雄叫び春の鯱
十五番街のつくえの部屋へ東風
やがて東風吹き抜けて午後部屋の午後
のんびりとつくえの部屋に春の塵




羽村 美和子 (「豈」「WA」「連衆」)
風二月哲学をする詩人の背
梅真白夜の一隅動きだす
古典抄引っ掛かりたがる山椒の芽
花あしび馬が通ると声を出し
みちのくの風のまだらを紋黄蝶




西村麒麟
蛇穴を出てゑがかれてゐたりけり
米国のビールが淡し涅槃西風
貝寄風や外で飲むならハイネケン
春宵やダーツを投げてみるも下手
鱒の顔口を開けても閉ざしても




田代夏緒
チューリップ百回呼べば芽を出しぬ
突風に介錯されしチューリップ
ちゅーりっぷ甘え上手といふ技巧




小林かんな
建築の丘せり出して春の空
溶接の面ふり向かず朝桜
帽子屋の起伏いろいろ春深し