俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2016年8月5日金曜日
平成二十八年花鳥篇 第九 ( もてきまり・堀本 吟・浅沼 璞・林雅樹 )
もてきまり (らん同人)
未来より逃げ来てそつと薔薇を吐く
身の中の藪分けゆけば蛇苺
ダリア濃し平成平和といふ不安
堀本 吟
紫陽花や門ごとに佇つ老ばかり
紫陽花や中耳が痛み始めたり
香りあるような無いよな額の花
浅沼 璞
下水路の遙かに囀れるものら
明急ぐ百景滑稽烏骨鶏
明易き鴉若気の高笑ひ
いきとめてゆつくりはいて夏つばめ
林雅樹(澤)
春深む魔法少女のステッキに
燕来るはめ絵の失せし一片に
二階より反吐の落ち来る躑躅かな
浴室の明り垣根の薔薇を照らす
ほととぎす鞭もて打てば虚子射精
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