俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2016年8月12日金曜日
平成二十八年花鳥篇 第十 (花尻万博・水岩瞳・佐藤りえ・真矢ひろみ)
花尻万博
葱の花まどろみの中風聴けば
一人行く境まで羊歯若葉かな
干し蕨白々と刻を入れにけり
美しき岬蝶々新しや
水岩瞳
戦争に使はれし日々 花に問ふ
花の夜句集ひとつも残さずに
Kポップのひとり徴兵花は葉に
佐藤りえ
裏声の占星術師夏きざす
探偵は立つて新茶を飲み干せり
崖うへのゆすらをさはに欲しがりき
羽衣は天女の水着ひとへなる
マスタング路上駐車の青蛙
真矢ひろみ
磐座にブラックスワンかげろへり
空蝉をふるふ頻伽の高声かな
ビル路地の鵺と目が合ふ夏季講習
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