西村麒麟風の宮その足もとに蟻の道
素麺を食べつつ褒める地獄の図
もろもろのことより隠れ昼寝人
竹岡一郎初夏の記念日舌から吊るさるる人々
初夏の記念日銃の組立選手権
結界のやうに敷きゐて夏布団
梅雨晴間土方巽凝固せる
玉苗は村の虚ろを埋めきれぬ
百年を露台に動かざる爺さま
舟として地獄に灯る夏布団
小林かんな背の高きマネキン愛でる火取虫
浮舟の碑を読んでおりサングラス
金魚より長生きをして詩を読んで
梁桁の十字に黒し鱧炙る
理容室の椅子ごと沈む巴里祭
小林苑を桃咲いて大縄跳びのぱたんぱたん
転居して小さな空に飛行船
瑠璃蜥蜴どうぶつ園の草叢に