2016年8月19日金曜日

平成二十八年花鳥篇 第十一 (西村麒麟・竹岡一郎,・小林かんな,・小林苑を)



西村麒麟
風の宮その足もとに蟻の道
素麺を食べつつ褒める地獄の図
もろもろのことより隠れ昼寝人



竹岡一郎
初夏の記念日舌から吊るさるる人々
初夏の記念日銃の組立選手権
結界のやうに敷きゐて夏布団
梅雨晴間土方巽凝固せる
玉苗は村の虚ろを埋めきれぬ
百年を露台に動かざる爺さま
舟として地獄に灯る夏布団




小林かんな
背の高きマネキン愛でる火取虫  
浮舟の碑を読んでおりサングラス  
金魚より長生きをして詩を読んで  
梁桁の十字に黒し鱧炙る  
理容室の椅子ごと沈む巴里祭




小林苑を
桃咲いて大縄跳びのぱたんぱたん
転居して小さな空に飛行船
瑠璃蜥蜴どうぶつ園の草叢に