2016年8月26日金曜日

平成二十八年花鳥篇 第十二 (渕上信子・筑紫磐井・北川美美)




渕上信子
わたし違ふでも大虻はついてくる
雲の峰いちごソースのトッピング
蟻歩く虚子散策の道の地図
派遣かい手ぶらの蟻に聞いてみる
汗拭いて一拍おいてから文句
寝室の虫一匹を殺す汗
とんぼあめんぼ国境は静かなり




筑紫磐井
過去未来去来す虚子と灯取虫
擲ってもなげうっても黄金虫
山国(やま)の蝶・山国(やま)の蟻ゐて虚子もてなす
避暑地には本当の恋・嘘の恋
いろいろの戦後おしよせ汗しとど
  小池百合子
鉄の意志・鉄の女に向かへば汗




北川美美
紙の薔薇握り潰せば開きけり
鶯や激しき谷の向こふ側
ペンギンに水という空流し鯵