下坂速穂(「クンツァイト」「屋根」)詩に痩せることなくけふの秋風に
目明しの老いて灯下に親しめる
草草の手に触れたがる子規忌かな
岬光世 (「クンツァイト」「翡翠」)さしあたりゑのころ草に逃げ込みぬ
居留地や黄落といふ懺悔室
夜の水に茎のしたたか破蓮
依光正樹 (「クンツァイト」主宰・「屋根」)人出でて露けき朝と思ひけり
もの言ひて少しく間あり蝶の秋
鬼灯や子守女が吹くかの音も
依光陽子 (「クンツァイト」「クプラス」「屋根」)秋蒔や昼過ぎの部屋背負ひたる
先んじて枯れゆく花も秋の花
風景が蝶のみこんで秋深む