中西夕紀悪霊になるにも位夕茅萱
異国にて二胡弾く人よ流れ星
船の灯やしばらく霧を胸に抱き
陽 美保子(泉)夏深し水底の日は月に似て
蟬しぐれ石山の石老いにけり
台風の去りたる鷺の声にごる
幣に裁つ白紙一束豊の秋
渕上信子氷川丸霧の記憶の引揚者
外は霧ロビーの時計スケルトン
霧襖何か大事なこと言はれ
水岩 瞳浄蓮の滝を見送るサリーかな
緑蔭のトルストイ足で押す乳母車
芭蕉庵八百屋お七の愛に失す
砂糖きび噛めば与那国トング田
遺憾なるテレビ番組寒露かな
細くとも秋刀魚食べねば始まらず
映画ならここでジ・エンド秋時雨