俳句新空間俳句帖
スクロールしてみる俳句巻子本。 年二回、媒体誌『俳句新空間』に転載。 SINCE 2012(平成24).12.28.
2016年11月4日金曜日
平成二十八年 合併夏・秋興帖 第九 堀本吟
堀本 吟
夏港あくびおおきく猫娘
白雨や走るおとうとといもうとが
水引の花ぶつぶつと亡父が呼ぶ
名月や古刹の庭にパイプ椅子
ふたつなき命澄みたる月夜かな
明けの夢火をつかみたし手づかむる
引きこもり津波退くとき汝れも逝きし
せつじつにもの頼むことあらばこそ
釣舟草とおいところに咲いている
釣舟草見えずなくなる目をこらす
めつむると見えずなりけり釣舟草
釣舟草妖しの水辺荒るるまま
おもてなしこのひと怪しなんでも食う
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