2016年12月9日金曜日

平成二十八年 合併夏・秋興帖 第十四 (関悦史・竹岡一郎・仲田陽子)



関悦史
群衆にパジャマの男大花火
大花火一千万円消えしといふ
揚花火宇宙の如く呆けて一人
七夕まつり軍用車両並べたる
胎蔵界なす書肆や幼き吾の秋
骰子の七の目吾を呑みて冷ゆ




竹岡一郎
じやがいもに躓いてゐる鄙の恋
アンデスの笛はじやがいも踊らしむ
じやがいもと蛸の格闘太古より
神饌の一つじやがいも布で磨き
鍛へ上げたる胸筋とじやがいもと





仲田陽子
親友のくれるものみな毒茸
温め酒フェリーのりばが見えており
写真立より月光のあふれけり
木の窪の声発しおり冬隣