内村恭子天窓の氷雨やフィヨルドは青く
窓に霜帆船沖をよぎる朝
毛糸編む窓辺漁より夫帰る
島に婚ありし暖炉の赤々と
冬深む夜の深さのままの朝
曾根 毅寒林過ぐ次の電車は血を流し
どの指も朱肉に塗れ年の暮
白菜と白菜と黒いビニール吹かれ
神谷 波石の上枯蟷螂の眠さうな
いろいろなことあり冬至のメロンパン
クリスマスイヴで大安で大欠伸
金星のここぞとばかり枯木道
渕上信子八王子初時雨を自慢
煤払この女螺子どこから
寒鰤捌く腕逞しき
リルケを刺して冬薔薇の黙
懐炉背中にスーパームーン
寒オリオンのいよよ仰け反る
すべて些事冬の大三角
大井恒行寒影を温くわかちて街の角
災後にも七年(ななとせ)はあり雪の華
石蕗黄なり故郷の姉はみまかりぬ
前北かおる(夏潮)小春日や甘蔗畑の道なほし
渓流に魚の影なき真冬かな
駆け付くるサンタクロースイルカショー