岬光世(「クンツァイト」「翡翠」)寒稽古見えぬ巌の胸を突く
真直ぐに立つ裸木の山法師
餅搗の手をつやつやと見せ合うて
依光正樹(「クンツァイト」主宰)手を握るそして離すや冬はじめ
生きて世に冷たき菓子も楽しかり
なつかしく並び歩きし冬木かな
泥の影すぐ日に揚がる池普請
依光陽子(「クンツァイト」)ひとびとの影かからずや寒牡丹
寒牡丹菰に洩れ日のなかりけり
侘助やことばを交はしたる如く
餅花の乾びて透くる日数かな
加藤知子たらようの実は熟れ自裁自死の報
落ち椿あのよこのよと踊りつつ
AIの場所によっては雪か雨
関悦史ヒポクラテス顔貌で来る冬ならむ
何ものか大笑ひして冬の暮
一月の身は木星の如くあり
初雪は一歳児らを知覚せり
月蝕のさなかの飢ゑと寒さかな
自殺法ネット検索して冬晴
老い縮む国なり冬のスーパーも
小林かんなマスクして南瓜の異形見にゆかむ
寒茜八坂倶楽部に袖を振る
広辞苑雪は足りないかもしれぬ
解熱剤すでに梟青みたる
くり返す律動金魚冬銀河