木村オサム夏帽を振りて夏帽呼びにけり
日盛りやブロンズ像の乳の張り
子どもより木登り巧し夏休み
次の世へ生まれそこねて海月浮く
夏痩せの男全員島流し
のどかアスファルトに燃え尽きてゆく終の蟬
懐妊の土偶色づきそむる桃
色つきの夢消えかけて西瓜食む
歳月の翡翠色なる羽化の蟬
反骨の捩れ重ねてたうがらし
真矢ひろみ夜濯ぐアラフォー単孤無頼たる
白玉の歪み好きなる不惑かな
逃げきって間のおきどころ夕端居
尿の切れ良くて深山に象がゐる
夏帽は深し繊毛縛しけり
前北かおる(夏潮)似合ふ気がしてきて髪にプルメリア
日盛や首長竜が椰子になり
踊唄ひくし瓢を打ち鳴らす
祝詞あげフラ奉る合歓の花
花合歓や夜空の下のレストラン
ジャグジーにホームシックの夜の秋
虹の島傘をひらけば雨あがり
堀本 吟友来たりその友も来て汗まみれ
有刺鉄線灼ける理想の一捻り
冷麦や君たち品を培えよ