小沢麻結鰻重待つ仕事鞄を傍らに
南風微睡みてなほ日は高き
三四郎こゝろ読み継ぐ日焼して
椿屋実梛座禅後の脚のしびれやばつたんこ
十薬はいつも寂びたる闇背負ふ
妖精が扇をひらき合歓の花
陰に咲き夕日のちから花岩菲
林雅樹(澤)空蝉を集めてひとり遊びかな
窓枠を担ひ人行く西日中
江戸つ子の意気ぞ蚯蚓の踊り食ひ
啄木忌書庫の机の灯せる
新緑の樹海に入りて戻らざる
池田澄子暑し「硫黄島」をGoogleで検索中
風鈴の窓や開けたり細めたり
水饅頭亡き先生を自慢して
幸せそう苧殻の中に居る煙
寝たあとの耳を慕いてアナタは蚊
浅沼 璞畳の目こすりこすりて青大将
寝返りのSの字蛇とふれてゐる
雑草の蛇をすすつてゐるところ