下坂速穂(「クンツァイト」「秀」)子規の来しあたりや冬のあたたかく
クリスマスソング喧し飯旨し
冬の木や柄長集めるうれしさに
岬光世 (「クンツァイト」「翡翠」)雪吊と短き枝の在り処
ふくらみの寒木瓜めきぬ密やかに
人来れば綺麗に座る雪見かな
依光正樹 (「クンツァイト」主宰)帯解や人を閉して硝子窓
あつまつてひとつの花を日短か
慕はれてもう夕方や落葉掻
群雀群れとほしてや冬ざるる
依光陽子 (「クンツァイト」)焚き上げの櫓に年の釘を打つ
門松の一度据ゑしを寝かせたる
千両や鍵かけて戸に隙間出来
透明な影を遊ばせ路地の冬
渕上信子初時雨はや喪中葉書か
蟷螂みどり冬のベランダ
聖しこの夜首輪瞬き
鱈場蟹いえ「ほぼタラバガニ」
忘年会よ春歌でをはれ
マスクのひとの耳尖りゆく
朝床に聞く雪掻のこゑ